こんにちは、Nekoaceです。
今回もMOTの研究紹介です。
本ブログの全体観はこちらです↓。
サイトマップ - 野良研究者の備忘録 (hatenablog.com)
MOTって実際のところ何やってるの?という声が聞こえてきた(気がする)ので、MOTの授業で行っていた簡易研究の紹介を始めました。
Nekoが通っていたMOTでは、講義の後にグループ課題としてMOTに関する簡単な研究発表をするものがありまして、そこで実際に発表したものです(公開できるようにちょっといじってますよ)。
前回はカープ女子の話をしました。これは分野で言うとSNSマーケティングの話です↓。
【MOTのプチ研究紹介】初めてのデータ分析 ”カープ女子の経済学” - 野良研究者の備忘録
今回は、組織論に近い話を書き残します。
それでは始めていきましょう。
研究の題材
この時は「意思決定論」が講義のテーマでした。経営学的には組織論。例えば会社のような組織の中で、ある決定がどのようになされるのか研究する学問です。
分かりやすいところだと、社長がトップダウンで重要な意思決定をすべて行う会社もあれば、現場の担当レベルからの提案を積極的に受け入れるボトムアップ型の企業もあるでしょう。そういった意思決定とざっくり組織のパフォーマンスがどのように相関していくのか学ぶ学問であると言えます。
研究の発端
Nekoが意思決定論の中で簡易研究をすることになり、自分の身の回りを中心に色々と考えました。
その中で自分の過去の行動を考えて、関係しそうな方にヒアリングして得た気づきとして、プロジェクトマネジメントする上で、人と人との相性が大事だ、ということがありました。
例えば、あなたがあるプロジェクトを統括している、いわゆる「プロジェクトリーダー」だったとして、自分はとても良いプロジェクトの素案が用意できたと思い上司に提案します。その時に、上司が自分と波長が合う方であればその提案は簡単に通ります。ところがそこからさらにプロジェクトが進んで大きくなって、さらにその上の上司に承認を取らななければいけなくなった場合、上司とその上の上司の波長が合わないとそこでプロジェクトが頓挫してしまう、ということがあります(実際にありました)。
これだけだと、上司の相性が悪かったね、というだけの話ではあるのですが、こういったトラブルをパターン化することができれば研究として成立するのではないかと思いました。
これが研究の発端でした。
研究で得られた結果「価値観オセロ」
具体的に行ったのは、自分の経験から仮説を立てて、複数の方にヒアリングしていって、自分の仮説が自分だけのものなのか、一般的なものなのか検証していく、というプロセスになります。
このモデル化を進めるために、重要なのは個人の「価値観」にあるのでないかと考えましたので、人の価値観の属性の名前付けから始めます。
以下三つ。利己的な人、利他的な人、利世の人、の3つです。
Neko自身は割と利世が強いタイプです。そんなに給料もいらないし大体何してても幸せ感じるタイプ。だけど、せっかく仕事するからには意味ある事がしたい、と思ってますので。
で、じゃあ、自分が利世だとして、自分がプロジェクト進めるうえで上司がどんなタイプだといいかなというところをまとめてみます。ちなみに、ここではわかりやすくするために利己と利世だけ使ってます。利他は良くも悪くも無害だったりしますので。
それでは関係性についてのまとめが以下。
上段にレポートライン、自分と上司の関係性です。下段に提案が通る可能性を〇×付けています。
一つずつ見ていきます。
まずは一番左、自分:利世→課長:利己→部長:利己、のとき。
これはですね、詰んでますね。自分がこのプロジェクトで世の中変えましょう!だと話が進みません。上司からはそれで僕にどんな得があるの?と言われてしまう(口には出さないかもしれないけれど)。こんな時必要なのは、上司に利益が出るようにする、例えば、このプロジェクト上手くいけば全社方針のこれにのっとってるんであなた評価上がりますよ!みたいなことを匂わせつつ提案すればいいですが、その辺の手練手管は本稿とは別の話なので置いておくとして(笑)、この状況は、難しい。
二つ目、自分:利世→課長:利世→部長:利世、のとき。
これはハイパー無敵状態です。きちんと提案すれば課長→部長とするするっと提案が通ってとっても最高な環境ですね。ガンガン押していきましょう!
三つ目、自分:利世→課長:利己→部長:利世、のとき。
ここが一番大事なところです。上司が利己だと一見きつい状況に見えますが、実はその上にまで目を広げるといけるかも。自分と上司の意見が合わなくても、上位上司(ここでいう部長)に事前に根回しをしておきます。すると上司が提案蹴ってしまっても部長さんの鶴の一声で敗者復活ばっちりです。
これ形としてはオセロです。つまり、自分と部長さんで課長さんを挟みます。そして課長さんにとっては部下と上司両方から詰められる状況を作る。
これができると課長さん落とせます。
最後四つ目、自分:利世→課長:利己→部長:利己、本部長:利世、のとき。
本部長登場です。これは間課長/部長どちらも利己の時、でもさらにその上本部長は利世です。
結論から言うと、これもなかなか難しいです。なぜなら自分と本部長が上下からプレッシャー掛けても、課長と部長二枚ひっくり返すのは大変。例えば、課長が部長に情報入れない、部長が本部長に情報入れないみたいなことがあるあるですし、課長と部長がどんな相談をしているか分かりません。3つ目のパターンの場合は、間に一人でした。一人だとやっぱり不安もあるのかひっくりやすいですが、間に二人になると心強くなっちゃうのかひっくり返すのが難しい。
この辺りの話は、まとまった状態で人に話すと、うんうんそうだよね、となりますし、当時の教員にもなるほどそうかもね、と褒められた記憶があります。
ちなみに発表中では、だからどうするの?ということで、自分の身の回りのレポートラインを並べてみて、各人員(アクターとか言いますね、だからアクターネットワーク)の属性を把握することと、うまくひっくり返せそうな立ち位置に自分が立つこと(場合によっては自分が異動してしまうとか)、それと詰みそうなパスが事前に分かればそこへの提案時に気合入れるとか、そんな感じで使ってみればいいですね、という考察でした。
まとめ
さて、プチ研究紹介は以上でおしまいです。自分でプロジェクト回したことのある方はなるほどと思ってくれるんじゃないかと信じてますがどうでしょう?
こんな感じの研究紹介、あと何回かはやってみようかと思ってますので、こうご期待。
それではまた
nekoace