【MOTのプチ研究紹介】ブルーオーシャン戦略を実務に展開してみた
こんにちは、Nekoaceです。
これまで何度かMOTの研究紹介をしてきましたが、今回は自分の仕事にMOTの経験は活きたのか?という良く聞かれる質問に記事で答えていこうと思います。
Nekoaceの場合、MOTの修士論文の一部に「ブルーオーシャン戦略」を使いましたが、幸運にもこれを仕事で使う場面に恵まれました。この辺りを書ける範囲で公開していこうと思います。
今日もよろしくお願いします。
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ホワッツ Blue Ocean Strategy ???
さて、本日のテーマ「ブルーオーシャン戦略」。どれくらいの方がご存じでしょうか?
ビジネス書として発売されているこちら ↓ が有名ですね。ビジネスマンの方だと読まれた方も多いかもしれません。
ブルーオーシャン戦略は、いわゆる成熟市場(レッドオーシャン)でなく開けた新市場(ブルーオーシャン)でビジネスすることを意味していますが、この辺りの説明は本なり他記事なり情報溢れていますのでそちらに解説は譲ります。
こうした経営理論は実際のビジネスに適用することがまあ難しいものなのでその辺の実情とNekoaceがどのように実ビジネスに展開していったかについて共有していきます。
ブルーオーシャン戦略がなぜ日本で広まらないか
この辺りは異論ある方もいるかもしれませんが、ブルーオーシャンは海外と比べると日本では広まりにくい印象です。本の中に書いてありますが、海外だとサムスン電子がブルーオーシャンを適用したマーケティングの専門部署を立ち上げたりと大企業が本格的に本戦略を適用する事例が書かれていますが、Nekoaceの観測範囲で大々的にブルーオーシャンを展開している日系企業は聞いたことがありません。それはなぜか?私は、日系企業特有の「100点主義」にあると思っています。
良く言う話でトヨタ生産方式に代表される品質管理で日系メーカーは世界一です。そして世界一品質を実現するための生産管理システムが確立されていて、その思想が全社に染み渡っているのです。
ブルーオーシャン戦略とは、例えば5つ競争項目があったとしたら(例えば、価格、品質、使いやすさ、デザイン、ブランドなど)いくつかの項目は意図的に捨てて、少数の項目で圧倒的優位を築き、市場の一定数の顧客を取りに行く戦略です。つまり、120点と80点の組み合わせで勝つのです。
日本的モノづくり思想では、5つの項目をすべて100点(一部はそれ以上が求められる)にすることが思想として求められています。たとえ、社内にブルーオーシャンを強烈に推進する方がいたとしても、長いレポートラインの中で、一人か二人は必ず日本的100点主義に固執する方が現れる結果、ブルーオーシャン戦略に基づいた提案は通りづらいということですね。
なぜブルーオーシャンを実践したか?
前職でNekoaceが担当していた商品は、ある成長産業の中で、独自の技術を盛り込んだ圧倒的に新規性の高い商品でした。しかし、同時にプロセスが新しすぎて、安定性に難があったり、コストが高くついたりマイナスな点もちらほら。ところが、この方式が世のなかに広まって数が出回れば、スケールメリットの観点からコストも落ちるし、N数の問題で安定なプロセスも確立できるし、市場に出しさえすれば必ず広まっていく商品だろうと考えていました。
分かりますよね、まさしく、ブルーオーシャン戦略とマッチする製品でした。ということにNekoaceは早い時期から気づいていまして、ゆえに、ビジネススクール進学時から、この製品に対してブルーオーシャン戦略を用いた分析を修士論文の研究対象にしようと決めていたわけです。
そして、研究と同時並行で実業にも展開し、研究成果の同タイミングでの社会実装を狙ったわけです。
会社での展開事例
ということで本題。ブルーオーシャン戦略をどのように展開したか。
この手法で難しいのは、5つの項目それぞれに点数付けしなければいけない点にあります。そしてその手法は自分で編み出していく必要があります。
端的に、Nekoaceは、アンケートで点数付けしていきました。こんな感じです。
Q:自社製品A、他社製品B、他社製品Cそれぞれの価格について適正価格を選択してください。
選択肢:① 250万円、② 500万円、③ 750万円、④1千万円
Q:自社製品A、他社製品B、他社製品Cそれぞれの使いやすさについて1-5点で評価してください。
(1点:使いにくい、3点:どちらともいえない、5点:使いやすい)
みたいな感じです。
この時、質問相手の選び方は、その製品に対しての専門家がいいのか、素人がいいのか、場合によって分けなければいけません。
また質問の仕方も、ミスリーディングになるといけないので、こういう質問の出し方に詳しい人を見つけて添削してもらいます。
一度で差がつかなかった場合は、その旨話してもう一回、ということもありました。
とまあ、探り探りではあるのですが、アンケートを10人くらいに取ればそこそこ信頼できそうなアンケート結果が出てきます。
もう一つ、アンケートにこんな質問も組み入れました。
Q:あなたは、本製品にこの機能○○を追加したときいくらまでなら追加コストを支払いますか。
選択肢:① 50万円、② 100万円、③ 150万円、④200万円
これ、面白くないですか?ユーザーさんに直接売価どこまで上げれるか聞くんです。すれば、機能追加コストは開発側の人間としてわかっているので、この機能はペイする/しない が分かるというわけです。
その結果は?
とまあ、こんな風にアンケート結果を深めて分析していくと、確かに自社製品が他社製品と比べて尖っている部分があって、ブルーオーシャン的に、「ここを推す製品なんです」と主張することができます。
そして、
「Nekoaceは大学で研究しているブルーオーシャンの手法を応用してこの製品のマーケティングに取り組んでいます」
と堂々とプレゼンするわけです(これ大事)。
本ブログをご覧の方はご存じかもしれませんが、結果的にこのプロジェクトはお蔵入りになってしまいました・・・
しかしながら本記事で目的としている、MOTでの研究内容を実務に活かす一例としては示せたのでないかと思います。
やはり勉強というものは短期的に遠回りでも必ずどこかでつながってくるものですので、是非ともチャレンジしていただければと思います。
それでは今日はこの辺で。
Nekoace