野良研究者の備忘録

経営学と材料加工が専門の企業研究者ナニガシが思うことを語る場

【キャリア論】その共同研究は誰のためか③:越境人材が変革の先導者だ。

こんにちは、nekoaceです。

前回、前々回と産学共同研究に関する書籍の紹介をしました。

管理人は、アカデミアと企業、双方満足する共同研究を円滑に行うためには、研究を主導する主担当者の圧倒的な努力が欠かせないと考えています。中でも、アカデミアと企業を行き来しながらキャリアを築いている「越境人材」がこれからの社会に必要ではないかと思うのです・・・!

 

 

 

おさらい

前前回、「搾取される研究者たち」という本の紹介記事を書きました。産学共同研究の光と闇について語られた本です。

 

nekoace.hatenablog.com

 

前回は、管理人自身がこれまでに行ってきた共同研究の体験談を書きながら、ステークホルダー全員がハッピーになる産学共同研究を行うには担当者が誰よりも汗をかく必要があるということを書きました。

 

nekoace.hatenablog.com

 

 

本はこちら↓

 

こうしたことはとても重要なのですが、自分以外の方の共同研究の形について見聞きするうちに、アカデミア(大学側)、企業側、それぞれで共同研究を円滑に進めることができる場合とそうでない場合の差について気づきがありました。今回がそのあたりを書きます。

 

組織におけるステレオタイプ

私は、これまでに何度かアカデミアとの産学共同研究を主導してきました。また、社内でも様々な研究を進め社外パートナーともいくつもやり取りしていました。多くが「研究」なので、うまくいかないものもたくさんありましたが、研究を進めていて、違和感が感じる瞬間がありました。そしてこの違和感、特定の連携相手に対しているときに集中的に起きていると感じるようになりました。ここでいう違和感とは、「なんか、話の通じが悪いなあ」とか「ここでこの稟議は不要じゃないか」とかいったとても細かいものなのですが、確実にそこに存在するんです。

はて、この原因は何だろう、と考えていくと、連携している相手が、複数の機関で勤務していた経験があるかどうか、に強く依存していると感じるようになりました。

つまり、企業人としての私が、大学教員と連携をするときに、連携先の研究者が、企業勤務経験がある方だと、こうした違和感が生じにくい。対して、企業経験がなく、大学教員一筋の方だと、こうした違和感が頻繁に生じる、ということです。

社外のパートナーでも同様です。パートナーが、一社しか勤務経験がない方と、転職経験がある方だと大分印象が違う。

社内のパートナーでも、一社プロパーとそれ以外では大きく違う。

 

ようするに、私の場合、一緒に仕事をする相手が転職経験者だと違和感なく仕事が進められて馬が合う。1つの組織でしか勤務経験がない方だと違和感が多く、仕事において空振りが多いことが経験的にわかってきました。

 

どんな組織であれ、その組織特有の癖があります。そして、ほとんどの組織は自組織に有利になるような仕組みを社内に作り上げている。その組織しか知らない方だと、その方自身がいかに優秀であれ、自組織のステレオタイプ固定観念)に引っ張られてしまうのだと思います。

 

これが私が感じていた違和感の正体だと思いました。

 

越境人材の必要性について

最近、複数の組織にまたがって活躍する人材のことを越境人材(インタープレナー)というそうです。

ある会社が、インタープレナーの定義を出しています(以下)。

 

  1. 様々な社会の単位において、多様なメンバーとの対話を通じて社会起点の目的・課題を特定する。
  2. 特定した目的や課題を実現・解決するための仕組みを構想する。
  3. 課題解決や目的の実現のために、共感で繋がって一緒に動いていくチームを組成する。
  4. 所属する組織など自分が動かせるアセットを自在に動かす。
  5. 目的の実現・課題の解決をやり切って、それに応じた適切なインセンティブ、報酬を獲得する。
  6. 学びや繋がり、新たな興味・関心をベースに、次の目的・課題に取り組み、自由に社会と価値交換して生きていく。

21世紀型社会に求められるインタープレナー(越境人材)について初の実態調査を実施|SUNDRED 株式会社のプレスリリース (prtimes.jp)

 

この定義に基づくと、共同研究で達成したい課題に対して、自組織のアセットを自在に使ってなんとか解決していく。そんな姿勢を持つかどうかが共同研究実現のために必要なのだろうと思いました。

 

考えてみれば当たり前のことではあって、

大学に所属し続けたら、閉鎖的な組織の中で論文等の業績を出すことに必死になって企業側の立場に立つというのも難しいだろうとは思いますし、一つの企業にい続けてもそうでしょう。

だとすると、紹介した本にもあるように、関係者全員がハッピーになる共同研究は現実的に不可能に近いということは事実です。

 

しかし、研究を迅速に製品化に結び付けることで新しいビジネスを生み出すということを諦めたくはない(笑)

だからこそ、大学と企業双方に所属したことがある方が、産学共同研究を推進するのが最適なのだろうと思います。

そして、今の日本社会でそれができるのは、博士卒の企業研究者が一番人口として多いのではないかと思うのです。

 

私自身も、社会人博士を取った企業人です。こうした人間は企業内で研究をさせても勿論いいのですが、共同研究の場でもきっと活躍するはずです。会社の中で重要な産学共同研究プロジェクトであるほど、博士号取得者を重用してほしい!

 

私の思いにすぎませんが、誰かに届くといいなと願います。

とりま、自分自身でプロジェクト成功させて証明していきますね!

今回はこの辺で。

 

nekoace