野良研究者の雑記帳

経営学と材料加工が専門の企業研究者ナニガシがつづる日常の記録

【キャリア論】大企業でもできるコンサルティング:社内コンサルという仕事

 

こんにちはnekoaceです。

 

今回は前職で自分が行っていた社内コンサルという仕事について書きます。

この経験が転職活動時に評判も良かったので参考になる方がいるのでは、と思っています。

 

 

nekoの経歴はこちら↓↓↓

 

 

 

はじめに

以前こちら↓で書きました(こちらの記事)がnekoは社会人博士進学時に、自分でプロジェクトリーダーになって、自分のリーダー権限で自分の博士進学を承認するというプロセスを取りました。

 

この時にしていた仕事が実は社内コンサルティングの仕事で、結構深堀できるところがあると思うのでそのあたり詳しく書いていきます。ちなみにこの仕事、自分で作った仕事なので社内で似た仕事をしている方はほとんどいません。そして、そういう話をすると転職活動の時にもベンチャーからも大企業からもめっちゃ評価されたポイントでもありました(詳しくはこっちの記事)。

 

ということで今日の記事の対象者は以下

・社内コンサルティングって何か知りたい人

・会社の中でやりたい仕事をするコツを知りたい人

・転職で評価される経験を積むには何をすればいいのか知りたい人

というところですかね。

 

当時の状況

nekoの前職は電機メーカーの新規事業開発部門(技術系)でした。会社自体は大企業の例にもれず、既存事業が頭打ちになってきてなんとか次の柱を見つけなきゃ、ともがいている時期。

日系大企業の場合、まずここで取る戦略が二つに分かれます。

1)M&A駆使して新しい事業分野に早期参入する

2)なんとか自前のアセット使って周辺分野に自力で参入する

日系企業さんの場合、なかなかこれらの両立ができない場合が多いです。海外だと両利きの経営↓↓↓

両利きの経営―「二兎を追う」戦略が未来を切り拓く

とかいって買収戦略と自社開発とバランスとる会社が多いですけど、日系だと組織構造的に難しいんでしょうかね、どっちかに偏りがちです。

 

で、nekoの前職は2)の自前主義の会社でした。

この場合、起こりがちな問題として「他部署で同じ新規事業始める問題」があります。

日系大企業いたことない方はびっくりする方いるかもしれませんが、これ本当にあるあるです。新規事業で自社のアセットつかうとなると候補が限られるんです。で、大体全社的に新規事業やろうぜ!の号令もかかるもんだから、いろんなところで似たような開発が始まるんですね。その結果何が起きるかというと社内で人材の奪い合いが勃発します。

だってそうですよね、新規事業始めたいけど足りない分野の人材を必要として、社外から採用するよりも社内で充足させようと思ったらそもそも社内に候補となる人間は何人もいないわけで、とすると同じ人材を複数部署を欲しがるわけです。

 

nekoの場合は、材料加工の技術開発を行っていましたが、ちょうどそのプロジェクトを止めなければいけないタイミングで、次の仕事を探しているところでした。

 

社内コンサルという仕事の着想

当時自分が所属していたプロジェクトが止まってしまったのですが、蓄積していた技術自体は面白くて少なくとも社内ではNo1の知見を持つチームだと思っていた。そこで何とかこのプロジェクトチームを存続させる方法は無いかと模索していたわけです。

で、自分たちの技術分野がどんなところで沽券出来るか関連しそうな社内のプロジェクトに片っ端から声をかけて会いに行ったんです。

当時まだ20代でしたが、ブシツケにメール攻撃掛けていると意外と話聞いてくれる人が一杯いて、「これこれこういう技術って興味ありませんか」みたいなことをキラキラした目で(ここ大事)情熱的に語り掛けると色々教えてくれます。

そこでだんだん気づいたことが、圧倒的な専門家の不足でした。

こうした大企業、自前の社員でなんとか開発しようとすると専門外の社員が1から勉強して何とかしようとします。ちょっとセンスがいいと、大学とか使って共同研究したり、専門的な人材外部から連れてきたりする(これがこれで結構大変)のですがそういうのは時間がかかるし、会社側の都合もあるのでいくらでもできるわけではない。となるとみんな自前で頑張ってしまうと。ここにビジネスチャンスを感じました。

社内にはいろんなところに我々の技術を欲しているチームがある。これらニーズを一手に引き受ける専門家部隊、つまり特定技術の社内コンサルティングチームがあればよいのではないかと思ったのです。

 

作ったプロジェクトチームはこんな感じです。

nekoがリーダーとしていながら、博士課程派遣とプロジェクトAを担当する。メンバーA~Cはそれぞれ特定のプロジェクトに入る。それぞれのプロジェクトは近い部署のモノもあれば別事業部のモノもあります。そこは社内どこでも必要とされれば協力するスタンス。

このチームの作り方、会社では結構珍しくてハマりました。顧客(社内)からしても外部から人雇うにせよ、共同研究するにせよ、もしくは外部コンサル入れるにせよ、お金もかかるし守秘義務も発生するしで結構大変なんです。それがこのスキームなら社内アセットで簡単に解消できます。

 

我々としても、この構成とすることで良いことがいくつもありますが、1つは、社内的な自由をたこと。企業人である以上、大体どこかの部署に属します。するとどうしても部署ルールにのっとって働いていく以上、どうしても細かいところで制約が出てきます。でもこのスキームなら顧客の言うことは絶対ですから、所属している部署のルールから逸脱できるんです。一種、治外法権的な地位を得ることができるんです。

またこういった構成にすることでチームの技術レベルが格段に上がってくるというのも良いところです。なんだかんだ大企業は本当にいろんな分野にまたがった仕事があるので、普段知りえない部署と連携ができることは単純に社内の知識を知り、つなげることができるので、自然に外部から情報が入ってくるようになる。そしてチームで連携をとることで必要な技術を必要なところに注入することができて、結果的にメンバーの技術レベルの向上に繋がっていくんです。

 

リーダーとしての取り組み:認知度の向上

この社内コンサルチームを運営してい上でリーダーとして心掛けていたことをいくつか挙げておきます。

1つは、特にチーム結成初期は認知の向上に努めること。社内で仕事を取ってこなければいけないので、まずは知ってもらうことが重要。そのためには、社内で閲覧できる議事録を片っ端から目を通し、人づてにできる情報は片端からとっていって、メール攻撃。後は社内の技術共有会のようなものには限界まで露出しました。こういう地道な活動大事です。

2つ目は、いくつか仕事が入るようになってきたら優先順位を付けて継続的に成果を出していくこと。ここ、大事です。成果は定期的に出していかなければいけません。ある時期にまとまって成果が上がるよりは定期的に少しずつ成果が出ることが望ましいです。これ会社によるかもしれませんが、大体成果を決めるスパンがあります。当時の会社では半年ごとにマイルストンを置くことが多かったので、半年おきに必ずそこそこ大きい成果が出るようにコントロールしていました。ここリーダーの腕の見せ所です。

 

その結果は?

さて、その結果、多数のプロジェクトに参加してきたわけですがそのあたりの詳細は別の機会に譲ります。

 

ここではこの仕事がその後のキャリアでどう活きたか。

転職のところの記事(こっちの記事)で書きましたけども、この仕事はスタートアップからも大企業からもすごく評価されたと感じています。

スタートアップからすると、短期的に成果を出せる人としてコンサルティングのような顧客課題解決に特化した人を欲しがります。nekoは大企業所属でしたがやっていた仕事はコンサルティング専業の会社がしていたことと本質的に変わりませんでした。

大企業からしても、独特の文化がある大企業の中でこういう動きができる人はおそらく貴重です。つまりこの仕事はスタートアップからも大企業からも高く評価される可能性のある珍しい(?)仕事なのでないかと思うのです。

 

社内コンサルという仕事、まだまだメジャーではないですが、大企業の中にいてもチャレンジできる仕事だと思います。この経験が誰かの参考になると幸いです。

この辺りの新規事業チャレンジの話、まだまだネタがあるのでまた書きますね。今日はこの辺で。

 

nekoace