野良研究者の備忘録

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【博士の生活総集編】社会人博士で得たものと失ったもの

こんにちは、nekoaceです。

 

これまで複数の記事で社会人博士の生活について書いてきました。今回はそれら記事のまとめ記事を書いてみようかと思います。

各記事にリンクを貼ることで、この記事から博士の生活全体を網羅できるような記事にするつもりです。

お付き合いください。

 

 

 

 

これまでの記事を時系列的に紹介していきます。

 

博士入学まで

管理人は、1つ目の修士を地方国立大学の理学部で取りました。オープンキャンパスで訪問した大学のだだっ広さに惹かれて、吸い寄せられるようにヌルっと入学したのです。

当時は、日々、読書とアルバイトとマージャンとそこそこ勉強に時間を費やす学生でした。できれば博士に進学したかったのですが、家庭の事情もあり断念しました。ふとしたきっかけで社会人博士というものの存在を知り、博士進学を見据えてメーカーの研究職を志しました。

 

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その後、新卒入社した会社で、あわよくば社会人博士に進学しようと狙い続けました。そのためには上司に気に入られる必要がある!と感じ、上司にとって「理解可能なフィールド」で99%仕事をしっかりこなしながら、1%の「抜け」をあえて作り、特定の分野で卓越した結果を残すことを心掛けて、可愛がられる努力をしました。

その結果、重要な仕事を少しずつ任されるようになり、少しずつ、周囲と比べて目立つようになっていきました。

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そんな中舞い込んだ学会発表のチャンスです。初めての英語発表、初めての欧州です。「地球の歩き方」片手に海外の空に思いを馳せていたころが一番幸せでした。いったん完成した発表原稿に対して、チェック→修正→チェック→修正・・・。 資料修正の回数がまさに数十回。社会人が学会発表するのがこんなにも大変だとは夢にも思いませんでした。

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少しずつ、博士入学にも近づいているかなあと実感しつつ、実際にはそううまくはいきません。なかなか博士進学のチャンスは見いだせない。それでも、固く決めていたのは延期はしても中止はしない、ということ。会社の制度なのだから会社の都合に合わせるのは当然です。粘っていればいつかチャンスは来るはず、と信じて機を待ちました。

するとある日チャンスが。突如上司に大学の先生に引き合わされて「こいつを博士に入れたいんです」。忘れもしません。私も即座に「そのつもりでした!」。ついに博士入学に向けて前進したのです・・・!

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進学予定の研究室とつながりは作れたものの、まだいくつも障害がありました。社内制度を利用するために方々手を尽くしました。何度もぶち当たる壁の一つが、決裁者の心を掴むこと。大企業あるあるの決裁者の人事異動で、一から説明し直しになるのです。フィーリングがあう上司ならいいけれど、そうでないと大変な困難を伴います。このリスクを下げるためにとった作戦が、自分が取れる限界まで裁量を取ること。最年少のプロジェクトリーダーとなることで、最小ですが、決裁権を獲得。自分で自分自身の博士進学を承認する座組を組むことで、提案を通す可能性を高めようということです。

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博士入学以降

無事、社内制度に伴う条件はクリアしました。いよいよ入学試験です。といっても社会人なので簡易的なものでしたが。

試験30分前に、プレゼン資料を作成するという綱渡りな面もありましたが、無事合格。晴れて社会人博士になりました!

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謎に満ちた社会人博士の生活(笑)。そのリアルな生活を数字で具体的に残します。

大変なのは博士よりも断然、査読付き論文投稿のタイムマネジメントですね・・・社会人はマジで時間無いですから。

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そんな博士に必要な査読付き論文の執筆について、必要なタスクを分解してみました。正しい計画策定には正確なタスク見積もりが必須です。私は、論文出版までに至る全工数を「先行研究調査」「研究(実験/解析)」「論文執筆」「査読対応」の4等分で考えています。意外と盲点なのが、研究それ自体と同じくらい調査や執筆は大変だということです。甘く見てると痛い目みます。

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さてついに博士論文の執筆です。ここまで博士学生として頑張ってきたからにはなんとかこの最後の難関を乗り越えたい・・・とはいっても、相手は百戦錬磨の主査副査の先生方です。そう簡単に博士号はくれません。博士論文を書く上で問題になりがちなことについてまとめました。

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社会人博士で得たものと失ったもの

そんな博士論文ですが、無事期日通りに提出し、卒業することができました。

これで晴れて念願の工学博士です。ビジネススクールや、これらを同時にこなした時間管理術は別途記事を書いていますので、ここでは、博士課程の活動を通して得たものと失ったものについて最後に書きます。

 

まずは、得たものから。

1つ目には自分に対する自信を得たこと」を挙げます。10年以上目標にしていた学位を取得したことは、大きな目標でもあきらめずに挑戦し続けていればかなう、という自信を得ました。ある意味では自己肯定感といってもいいかもしれません。

また、ビジネススクールはじめ、超がつく激務を乗り切ったことで、自分が活動できる限界を知ることができた」ということも大きいです。仮に勉強している時間をすべて残業で換算するとすごいことになる(とてもここでは書けない超ブラックです)のですが、今後自分がどんな状況に追い込まれても、これくらいは働ける、ある程度体に無理がきくことは可能であるという自信です。これって安心感にもつながるんです。

「周囲の見る目」も変わりました。私がしているこうした挑戦をリアルタイムで見ていた方には、一目置かれるようになったと思いますし、初めてお会いする方にとって博士という学位があることで少し見る目が変わることも実感しています。学位取得後は国内の方としかお会いできていませんが、海外に出たらこの傾向は顕著になるのだろうと推測しています。

 

失ったものです。

「20代」を失いました。。。博士に向けた活動を始めてから、プライベートで遊びに行ったような記憶がありません。いや、家族旅行はありますが、友人と長時間一緒にいたような記憶がほぼないのです。旅行はもちろん、飲み会も断り続けるような生活でした。そんなこんなで段々誘われなくなっていきまして・・・今後は友人関係を回復しに方々行脚するつもりです。

「お金」も少しかかったかもしれません。基本は社費なので微妙ですが、学費以外の交通費や教科書代等、3年間通じて数十万円はなんだかんだかかっているかもしれません。ただこれは、途中の段階で、自腹の博士進学に切り替えを検討した時期もあるくらいなので、そんなに「失った」という実感はなく、必要経費だと納得しています。それよりはむしろ、こうした勉強の活動に振り向けた時間を業務にあてていたら、業務の中で残業代も付きますし会社からももっと良い評価をされていたかもしれません。そういった意味合いでは機会損失という形でかなりの額を失っている可能性はあります。

しかし、私の場合、博士取得後に職を変えて、高い評価を得ることができました。これにより、お金の面でも十分戻ってきていると思っています。

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それ以外に失ったもの、、、あまり思いつきません。やはり長い間思い続けてきた目標を達成した達成感が何にも勝り大きいのだと思います。

 

私は、こうした活動を通して、理学修士 X 技術経営修士 X 工学博士 を持つ企業研究者となりました。こうした経歴は少なくとも私の分野では自分一人なのではないかと思っています。これはつまり、私にしかできない仕事があるし、周囲からもそう見られているということです。

言い換えると、サラリーマンでありながら、会社に頼らず自分の力で自分の立ち位置を確保している自信がつきました。こうした一種フリーランスに近い感覚は会社に言われた仕事を続けているだけだとなかなか得ることができないのではないかと思うのです。

 

こうした点からも、社会人博士はなにか成し遂げたいことがある方にとって魅力あるものでないかと思います。

 

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おすすめの本

最近読んだ本で、自分がしたいことを突き詰めることが世の中から求められていることをまとめた本があったので共有しておきます。天体観測が趣味の素人がひとすら観測技術を極め続けることで大学に行かずに直接研究者になる話など大変面白いです。自分のキャリアに通ずるところもあるかもと思って一人うなずきながら読みました。

参考になる方もいるかもしれません。

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長文読んでいただきありがとうございました。

 

引き続き他記事をお願いします。

 

nekoace